540-0012 大阪市中央区谷町1-7-4 MF天満橋ビル2F
Tel:06-6910-2288 office@office-izutani.com

中小企業新事業活動促進法の経営革新とは

中小企業を取り巻く昨今は、市場の多様化、情報化の進展などにより大きく変化し、競争の激化により厳しい状況が続いています。

そのような経営環境の中、自社独自のアイデアやノウハウを生かし、新たな取り組みによって経営課題に取り組む企業に対し、補助金や融資制度、税制上の優遇措置など様々な形での支援措置を実施するのが中小企業新事業活動促進法の目的です。

法律の特徴

中小企業新事業活動促進法は以下のような特徴があります。

・全業種での経営革新を広く支援

全業種にわたって幅広く中小企業の経営革新を支援します。従来あった中小企業新分野進出等円滑化法のように製造業等4業種のみが対象のようなことはありません。

・柔軟な連携体制で実施

経営資源・得意分野に限りのある中小企業の経営革新には、他社との柔軟な連携関係を最大限に生かすことが不可欠です。

このため中小企業単独のみならず、異業種交流グループ、組合等との多様な形態による取り組みも支援します。

・経営目標を設定

事業者が事業活動の向上に関する目標を設定することにより、経営目標を達成するための経営努力が促される制度です。

支援する行政側でも、計画実施中に対応策へのアドバイス等を行い、フォローアップを実施します。

 頑張ってる企業だというお墨付きをもらえる制度

 わかりやすく言うと、どのような業種の中小企業であっても、経営目標を決めて、新しいことに取り組もうと頑張っている企業を経営革新している企業だと認定して、行政でも様々な形でサポートしますよ。という制度です。

 経営革新の認定を受けることは、新たに取り組もうとしている事業計画がしっかりとしたものである、という「お墨付き」をもらうようなものです。

 この「お墨付き」、補助金や融資などといった様々な形で特典があったりします。上手く活用していきましょう。

 経営革新の条件は?

経営革新をしている企業(つまり頑張っている企業)という「お墨付き」をもらうためには、条件があります。その条件とは、

新たな取り組みをしていること。

新たな取り組みとは、新しい商品や新しいサービスを開発して事業化する、といったことです。とは言っても、なかなか事業化できる新商品や新サービスというの生まれるものではありません。そんな場合でも、これまでの商品やサービスの生産や提供の方法を見直して新しいやり方で商品の生産やサービスの提供をおこなうといったケースでもOKです。

もう一つの経営革新の条件として、次のようなものがあります。

経営の相当程度の向上

これは、新たな取り組み業績が伸びる見込みがあるということです。当たり前の事ですが、きちんと儲かるビジネスモデルを立てる必要があります。 どのくらい伸びれば経営革新している、と認められるかというと、直前決算期と比較して、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が9~15%経常利益で3~5%ぐらいの伸びが求められます。これらの数値を事業計画で定め、承認を受ける必要があります。もちろん、その数値は、根拠のあるものが求められます。ただ、見方を変えれば、現在業績の悪い企業ほど、目標を低く設定できることになります。

 経営革新の認定・承認のメリット、効果は?

経営革新の認定・承認を受けると様々な優遇措置を受けることができますが、その中で最も効果が高く、活用されているのが低利融資です。。

低利融資の獲得

まず、経営革新認定企業で最も活用されるのが、低利融資制度です。信用保証協会の保証枠に別枠ができたり、政府系金融機関の経営革新貸付や、各地方自治体の制度融資で経営革新貸付があったりと、経営革新認定企業が融資を獲得する方法は数多く用意されています。、経営革新をしている企業(頑張っている企業)という「お墨付き」をもらったわけですから、金融機関も融資をしやすくなるのです。

経営革新活用例

経営革新の融資制度

 

 

承認の条件1【新たな取り組み】

中小企業新事業活動促進法は新規事業によって経営革新を目指す企業をサポートする制度です。この新規事業が「新たな取り組み」と認められることが、認定の最初の条件となります。

この新たな取り組みとは、以下のいずれかに該当するものをいいます。

1.新商品の開発又は生産

文字通り、新たな商品を開発したり生産したりするケースです。事例として以下のようなものがあります。製造業の企業は該当しやすいといえますね。

事例:ティーバッグ製造業者が、使用済みティーバッグを地中に埋めると分解されて土に戻る、環境に配慮した商品を開発し、新商品化を達成する。

事例:豆腐の絞り器を製造しているメーカーが、絞り器のノウハウを利用し、家庭でも使える、ジュース絞り器を開発する。

2.新役務の開発又は提供

役務とはサービスの事です。新サービスの開発や提供と言えばわかりやすくなるのではないでしょうか。サービス業の企業は該当しやすいでしょう。事例としては以下のようなものがあります。

事例:美容室が、顧客の顔を撮影し、コンピューターで髪型をシミュレーションできるシステムを開発して、顧客層の拡大と売上の増大につなげる。

事例:老舗の旅館が、空室の日帰り客向けのリラクゼーションルームとして改装し、新たなサービスを行う。それにより昼間の時間帯の増収を図るとともに、そこから新規宿泊客の拡大に結びつける。

3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入

生産や販売の効率を向上させる新たな生産方式、販売方式を取り入れるケースです。「1.新商品の開発又は生産」とは違い、商品自体は新しくなくても構いません。製造業だけでなく小売店なども該当するケースがあるでしょう。事例としては以下のようなものがあります。

事例:金属加工業者が、金属熱加工製品の開発に伴う、実験データを蓄積することにより、コンピューターを利用して、熱加工する変化を予測できるシステムを構築する。それにより、実験回数を減らし、新商品開発の迅速化とコスト削減を図る

事例:パンの小売店が、パン作りの体験コーナーを設け、家族に体験してもらい、それによって新たなパン作りの道具や材料の販売を行うとともに、パンの売上増大につなげる。

4.役務の新たな提供の方法の導入その他の新たな事業活動

新たな市場を開拓したり、効率化につながるような新たなサービスの提供を行うことです。事例としては以下のようなものがあります。

事例:不動産管理会社が、企業の空き家になった社員寮を一括借り上げして、それを高齢者向けに改装し、介護サービス、給食サービスを付加して、高級賃貸高齢者住宅として賃貸する。

事例:写真館が、撮影のデジタル化によって、撮影した写真をその場でお客様がテレビモニターで確認できるシステムを開発して、納期の短縮と売上の増大を図る。

「新たな取り組み」は、個々の事業者にとって「新たなもの」であれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則承認の対象になります。

しかし、

1、事業毎に同業の中小企業の当該技術等の導入状況

2、地域性の高いものについては、同一地域における同業他社における当該技術等の導入状況

を判断し、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については・承認対象外となる。

という条件があります。つまり、自社にとって新たな事業であっても、もう既に同業他社が当たり前にやっているようなことであれば、承認は難しいということです。

(参考文献:今すぐやる経営革新)

承認の条件2【経営の相当程度の向上】

中小企業新事業活動促進法の経営革新は、新たな取り組みに頑張る企業にお墨付きを与える制度です。

でも、単に新規事業を頑張って取り組みます、というだけでは、認定を受けることはできません。目標を数値化して、一定の基準を満たす必要があるのです。

この基準を満たして、「経営の相当程度の向上」が見込まれる計画であるとして、認定を受けることができます。

この認定の基準が、(1)「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率と、(2)経常利益の伸び率です。

(1)「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」とは、

付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費

一人当たりの付加価値額 = 付加価値額/従業員数

で計算されます。

また、

(2)経常利益は、決算書等に表記されるような通常の会計原則とは違い、

経常利益 = 営業利益 - 営業外費用(支払利息・新株発行費等)

で計算されます。

これら(1)「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率と、(2)経常利益の伸び率が、以下の基準を満たす計画であれば、認定を受けることができます。

 計画終了時

付加価値額又は一人当たりの付加価値額の伸び率

経常利益の伸び率

 3年計画の場合

9%以上

3%以上

 4年計画の場合

12%以上

4%以上

 5年計画の場合

15%以上

5%以上

この基準を満たした計画であれば良いので、簡単に思われるかもしれません。

しかし、計画で示されてた数値の根拠なども厳しく審査されますので、単なる数字合わせでは認定は難しいでしょう。